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海の広さと同じくらいの話 (第一章)

忘れたい事、忘れちゃいけない事、償わなきゃならない罪、逃れたいという欲、そういう感覚って決して言葉に表せないものだと思う。どうしたって例え話になる。

 

 

突然だけど、君は誰かを殺したことがある?

例えば友達とか大事な人とか。もしくはどうでもいい人とか。

 

 

1500文字近くある序章を書いた僕が、本当に伝えたいことはこのたった2行だ。

 

若さって残酷だ。青春って残酷だ。未熟な僕らが駆け抜けたこの約20年という月日。後々の人生を決める大切な自分の形成期だよね。そんな大事な期間を僕らはこんなに未熟で脳みそのしわもほとんど無いまま通り過ぎる。

漫画『僕らはみんな河合荘』にも話として出てきたが、小学生の頃の女の子って変に"ませている"と思う。例えば、人の恋心を勝手に応援するとか言って、やらなくてもいいことまでやろうとするところとか。「○○ちゃんならいけると思う!」みたいなさ。余計なお世話ってやつね。良かれと思ってやるんだけど、ああいう小学生の残酷さって本当に怖い。小学生の時ってさ、大事な時期なんだよ。これから待ち受ける学校生活という集団行動に身体や心を適応させなくちゃならない、そのための訓練期間なんだよね。つまりさ、小学生時代をうまく過ごせなかったやつはいずれ死ぬ、ということだ。

 

僕はそんな小学生時代をうまく過ごせなかったやつの内の1人だろうか。自分の中ではうまく生きたと思っているんだよ。いじめられたことも無かったつもりだったし、そもそも鈍感だからいじめられたことにも気づいていないかもしれないけれど。そうやってなんとかうまくやり過ごしたなって思っていたんだよ、去年のある日まで。

 

 

去年のある日。いつもと変わらぬ日。思い出せるよ。ちゃんと手帳に赤ペンで書きこんでいるんだから。大した予定もないのにしっかりした手帳を買ってさ、だんだん書き続けることがしんどくなって、最後の方はぐだぐだになっちゃったな。結局大事なことしかメモらなくなるんだよ、どうしても僕は。それでもあの手帳は捨てるわけにいかないんだ。ここに書いていることは薄れる記憶をなるべく留めるために。そしていつかこの文章を読んで、僕が生きた軌跡を知ってくれ。

ああ、流れ出る言葉に感情がこもってなくて自分で自分を信じられなくなるな。こうやってどうでもいいこと書いてると何か報われる気がするんだ。この壮大な話は誰にも読まれたくない。でも読んでほしい。その気持ちが半分半分で正直めんどくさい。やっぱり書きたくない。というか書いたら死ぬから。こんな情報社会に垂れ流す言葉は全部虚言だ。そうやって決めつけて僕らは少しだけ大人になったつもりで背伸びする。安心して、僕らはまだ子供だ。ちゃんと。しっかりと。そうして大人になる機会を逃した人だけがいつまでも子供のままでいるんだ。それが良いことか悪いことかなんて誰にも決められないけど、僕は子供でもあり大人でもありたいと思うんだ。

とにかくあの日をさかいに僕はもう。